ひとつの“部屋”で繰り返される、たった一度の物語【人狼TLPT “The Room #01”】
舞台というものが好きです。
芝居も、コントも、手品も、バレエも、演奏会も。
演目が決まっていても、セットリストが決まっていても。
振りが、台詞が、演出が、その全てが、段取りを持って進むものだとしても。
“舞台”という場所で繰り広げられる行為には、 “全く同じ”というものが何一つありません。
その日の天気。気温。
演者の体調、気分、無意識。
客席の顔触れ、雰囲気、集合的な感情。
凡ゆる総てが、たった一度の巡り合わせです。
初日と最終日、中日と千秋楽でも全く違う。
好きな演目の舞台を何度も繰り返し観る人が多いのは、
何もその演目が好きだからだけではなく、
「その日たった一度しか観られない“何か”」が観たいからなのでしょう。
かっちりと台本がある舞台ですら、毎日毎回が“たった一度”。
でも彼らの舞台は、本当の意味でたった一度なのです。
『たった一度の物語』
今回の記事は、
香川県で現在開催されている『さぬき映画祭2016』にて上演された、
人狼TLPT “The Room #01”のお話です。
いつもながらに前置き長いので、目次置いておきますね。
「ライブレポだけ読みに来たんですけど!」って方はご利用ください。
- 人狼TLPTとは
- そうだ、香川に行こう。
- 【さぬき映画祭SPステージ 《2016年2月13日(土)13:30〜》】
- 【The Room #01 体験会(1) 《2016年2月13日(土)16:30〜》】
- 【The Room #01 公演会(1) 《2016年2月13日(土)18:30〜》】
- 【諸々総括】
人狼TLPTとは
まず、“人狼TLPT”とは何なのか。
ひとまずざっくり説明すると、「人狼」というゲームを用いて即興劇を上演している劇団です。
じゃあそもそも、その“人狼”とは何なのか。
本当に乱暴に一言で説明すると、 噓つきを探すゲームです。
10年くらい前に、私はとあるMMORPGにハマっていたのですが、そこで一緒に遊んでいた友人が人狼にどハマりしたのを切っ掛けに、“人狼”というゲームを知りました。
BBSを教えてもらって見てみたのですが、何かもう第一印象が強烈過ぎて即行で逃げ帰った思い出があります(むしろそれ以外あまり覚えてない)。
そうして時は流れて昨年の秋。
趣味で調べ物をしていた時に“人狼”というキーワードが出て来たもので、
「人狼ってあの“人狼”だよなぁ、懐かしい」
と思って久々に検索してみたことがこの沼の入り口。
対面人狼のプレイ動画から転がり転がって『アルティメット人狼4』に。
そして最終的に“人狼TLPT”に辿り着きました。
(私がこの『アルティメット人狼』を観ようと思った切っ掛けが、“ゲームクリエイター人狼会”にあったことは声を大にして言っておきたいです。
未だに愛して止まない『428〜封鎖された渋谷で〜』のディレクター、イシイジロウさん。
そして『ダンガンロンパ』シリーズシナリオ、小高和剛さんが居なかったら、多分それほどの興味を持って見なかったんじゃないかと思います。本当に。
つまり『アルティメット人狼』ありがとう!!)
ゲームクリエイターの方々と共に舞台に立つTLPTメンバーを初めて観た時に受けたのは、良くも悪くも
「何だこの人たち!?」
という衝撃一色でした。
入場の時にファンから片仮名の名前で呼ばれてるし。
発言がやたら濃いし。
ってかキャラクターがまず濃いし。
医師とか未亡人とか局長とかもう世界観が分からんわ!
と思ったのですが、役者の方々であるという説明を受けて納得。
成る程なぁと思いつつゲームを観てたら……
まぁこれがもう皆尋常じゃないぐらい強いんですよね。
観てる方が話についていけないぐらい、会話の展開が早い。
元々推理ゲームやミステリ小説が好きで、尚且つ頭の良い人に滅法弱い私は、
もうこの段階で沼に首まで浸かりました。
そうだ、香川に行こう。
とは言え、普段“人狼TLPT”が公演されるのは東京。
おいそれと観に行けないしなぁ、としょんぼりしていたところに舞い込んできたのが、
『さぬき映画祭2016』での公演でした。
香川なら行けるじゃん!!と勢いでひとり飛び込むことを決定。
チケット発売数分前からe+の画面更新するのなんて、何年ぶりのことだろう。
新幹線で岡山まで。
そこで乗り換えて、高松まで。
西向きの新幹線に乗るのは20年くらいぶりでテンションが上がりました。
が、岡山まではトンネルが多くてちょっと残念。
その分岡山からのマリンライナーでは瀬戸大橋を渡る際、すごく良い景色が見られました!
海!島!橋!(海無し県出身者は海見るだけでテンションMAXの法則)
晴れてたらもう少し遠くまで見渡せたのかなぁ。でも充分満足。
高松駅から高松築港までは徒歩3分くらい?
京都の叡山電鉄を思い出す感じの駅舎。
改札は自動改札ではなく、駅員さんに直接切符を切ってもらうのでこれまたわくわく。
懐かしいなぁ。
小さい頃、天王寺駅の中央改札で、床に散らばった切符の切れ端が雪みたいに綺麗に見えて、拾おうとして母親に怒られたことを思い出す。
目的の瓦町駅は二駅目。
会場である瓦町アートステーションは駅直結の建物瓦町フラッグの中にあるので、迷う心配もなくて気が楽でした。
折角行くんだからと
・13:30〜 さぬき映画祭SPステージ
・14:30〜 体験会
・18:30〜 The Room #01 公演ステージ(1)
の3つに参加してきました。
ここからようやく本題のライブレポです。
いつもながら前置き長くてすみません……。
【さぬき映画祭SPステージ 《2016年2月13日(土)13:30〜》】
開演前の入場列で、前に並んでおられたひとりで参加の女性と色々お話させて頂き、
折角なので一緒に観ませんかー?と言って頂けたので有り難くご一緒させて貰いました。
前から2列目、センター通路から下手側ふた席で観覧。
思ったよりも狭い会場で、舞台との距離が近い!
ほぼ1年前よりTLPTファンというその女性に、TLPTについて色々伺いつつ開演を待つ。
まずはダンカン役池永英介さんがMCとして登場。
「人狼」ゲームのルール説明を非常にスマートにして下さる。
私はまだ池永さんをダンカンとしてゲームで観たことがないので今回を本当に楽しみにしていたのですが、一緒に観ている女性から何と今回もプレイヤーでは参加しないと教えてもらい非常にショック……。
(後述しますが体験会&公演ステージではプレイヤーでこそないものの、“ダンカン”としていらっしゃいましたので、少し救われました)
その後開始までは池永さん&天の声ナナちゃんのやり取りで会場は和やかなムードに。
お祭り感、というかあったかいイベント感があって、既にすごく楽しい。
定刻を少し過ぎてステージは開幕。
まずはTLPTメンバーが入場し、次いでゲストの方々が入場(有村昆さん、辰巳琢郎さん、堀江貴文さん、郡司幹雄監督、佐々木智弘さんの順番だった、かな?)
もうこの時点で凄まじい人口密度。
ここで超絶悲報、イシイジロウさんの欠席がアナウンスされました……。
瓦町フラッグ着いて少しした頃にTwitterで見てはいたのですが、矢張り悲しい。
香川まで来られていたというのにインフルエンザでドクターストップとのこと。
どうか早く良くなられますように……。
ですが!会場のその悲しみを埋めるべく!
急遽!塩谷直義監督&デヴィッド役溝口謙吾さんの出演が決定したとのことで、入場&紹介。
そしてゲストの方々にはTLPTメンバーがスタンドにつくということでその組み合わせが、そしてシングルプレイのTLPTメンバーと共に席順も併せて発表されました。
下手から順番に以下の席順でした。
()内は何故そのコンビが組まれたかを一言で書いてます。〈TLPTの方々は役名で表記〉
・佐々木智弘さん&マドック(仲良しコンビ)
・パンジー
・ウォルター
・塩谷監督&デヴィッド(ピンチヒッター&『PSYCHO-PASS』コンビ)
・ヘイゼル&エスター
・有村昆さん&ノエル(王子様コンビ)
・辰巳琢郎さん&ハイラム(拓郎コンビ)
・堀江貴文さん&ドリス(因縁コンビ)
・カチュア
・郡司幹雄監督&デイジー(初人狼&人狼の鬼コンビ)
・ルーサー
・バーバラ
・メイソン
スタンドは昼間の会議では発言禁止。
夜時間の前に少しだけ時間が与えられるので、その時に作戦会議が出来ます。
TLPTメンバー同士ですがイレギュラーでコンビのヘイゼル&エスターは1日目ヘイゼル、2日目エスター、……と交互に参加。作戦会議は無しでした。
今になってちゃんと流れをメモとっておけば良かったと思うのですが、その時はもう初TLPT でそれどころじゃなかったので、覚えてる限りでハイライト書いていきます。
本当にうろ覚えなので間違ってたら教えて下さい。適宜訂正していきます。すみません……。
- 初っ端で佐々木さんが「TLPTの稽古の時にみた作戦やってみたいんですけど……」と手を挙げ、
「全員、自分が『どちらかと言えば予言者』『強いて言うなら霊媒師』って適当に言っていく」作戦
を実行することに。
で、その作戦の説明の後に順番に言っていく中、いきなり塩谷監督が「僕予言者です」の思いっきりカミングアウト(以下CO)。
ざわつきつつも一巡して『予言者グループ(確か佐々木さん、パンジー、ウォルター、塩谷監督、郡司監督、ルーサー、バーバラ)』と『霊媒師グループ(ヘイゼルエスター、有村さん、辰巳さん、ホリエモン、カチュア、メイソン)』に分かれた後、パンジーが予言者CO。
パンジーが元々知ってたのは佐々木さんが人間。塩谷監督は誰って言ったっけ……? - バーバラが「ってことは初日処刑はパンジーと塩谷監督を除いた予言者グループの中からで良くない?」と提案。
- それに超いい声で激しく同意したルーサー。
- バーバラは自己紹介の時に「大事に伸ばしてきた長い髪をばっさりと切るぐらいの気持ちで」と宣言したために、「嘘ついたら坊主」という話に。
- バーバラ「良いよ!絶対坊主にする!だから信じて!」
郡司監督「でも彼女の場合芸人さんだから別に坊主でも美味しいよね」
バーバラ「……私、“芸人”だったっけ?」 - 『予言者グループ』で坊主になれるかどうかの宣言で発言の信憑性が測られてゆく。
- これがのちの“坊主戦法”である。
- ヘイゼル「私は明日になると顔が夢のように美しくなるのでどうか明日までは生かしてください」
- 良い声すぎたのかルーサー初日処刑。5票も貰うのは初だそう。
- 幽霊タイム(夜時間)は普段ゲームのルール説明や正体発表の時間だけど、今回はフルクローズ(正体を最後まで伏せたままゲーム進行)でゲーム説明も終わっているため夜時間にすることがなく、プライベートを赤裸々に明かされる場になる。
- ちなみにルーサーは6人兄弟。兄3人、姉1人、妹1人。そして全員良い声。
自分が良い声であることに気づいたのは中学三年生の時。発表会で朗読をして、父兄がざわついたことを切っ掛けに知った。 - ゆるく楽しみすぎて2日目からもう既に記憶が危うい。初夜トンバーバラ。
- 2日目。『霊媒師グループ』でCOしていこうという話になり、上手から順番に発言。
エスターまで回ってきたところでCOなしで、エスターは「言いたくありません!」 - が、他に誰もいない以上ヘイゼル&エスターなんじゃない?というふわっとした流れで、エスターが前日処刑されたルーサーは人間でした、みたいな発言をするまで待って、有村さんが霊媒CO。
- パンジーに「(信用勝負で)負ける気がしねぇわ!!」と吐き捨てられるウォルター。
- ご本人が初日から危惧しておられたとおりさっくりと処刑されるウォルター。
- ゲストの方に「ウェイター?だっけ?」と呼ばれるウォルター。
- 幽霊タイムにてバーバラも6人兄弟ということが判明。おまけに男女比までルーサーと一緒。
- ウォルターは甥っ子姪っ子9人。お姉さんがひとりで6人産まれたとのこと。
- 少子化とは。
- 暇を持て余したスタンドたちが幽霊タイムに乱入。この時点でまだTLPTメンバーばっかり。
- パンジーの一人称が“僕”であることについて。
パンジー「“僕”、“私”、“俺”の3つから日によって変わるんです」
マドック「男!3つのうち2つ男だから!」 - もう処刑の順番も襲撃の順番も解らないですすみません、まとめて書きます。
- ヘイゼルVS有村さん。有村さん自分が真であるとゴリゴリ主張。とにかく主張。
すごく堂々と筋道立てて周りに説明し、信用を勝ち得る。 - 辰巳さんは黙考タイプ。結構な鼻声で体調悪そう。浅見光彦は辰巳さんが一番好きです(私は2時間サスペンスマニア)。
ホリエモンは終盤メイソンに話し掛けて確認をとるような形で論理的に推理を展開。
メイソンはいきなり隣がふた席空いたこともあって、俯瞰的に参加してた印象。 - 最後は有村さん、辰巳さん、ホリエモン、カチュア、郡司監督の5人になり、ラストウルフの郡司監督が処刑されたことで人間勝利でゲームセット。
- 最終日の朝、郡司監督が椅子に座った瞬間椅子が割れるアクシデント。
この時に郡司監督は「もう駄目だ」と思ったそう。 - 役職内訳
人狼:ウォルター、ヘイゼル&エスター、郡司監督
狂人:塩谷監督
予言者:パンジー
霊媒師:有村さん
狩人:バーバラ - MVPは有村さん&ノエルコンビ。確かに有村さんはすごかった。
ノエルは毎日ひとつ「これだけ実行してください!」と作戦を与えていたそうで、有村さんはそれを忠実に守られたとのこと。 - 個人的には塩谷監督の狂人がすごいなぁと思った。
そのタイミングで出る!?ってとこから、あの淡々とした雰囲気で言われると何かすごく本物っぽく見えてしまった。 - 塩屋監督、冒頭で「僕は『PSYCHO-PASS』という精神異常とかのアニメの監督をしているのですが、怖い人と思われないように、良い人アピールしていきたいと思います」とすごく良い人そうな感じで発言してたのに、結局狂人ってもう。もう。
- 佐々木さんは初日にパンジーに白出しされたので投票は毎日パンジーに乗っかってたのだけれど、裏でマドックと相談してる時に「パンジーさん偽物だと思う」とCOし、マドックに「じゃあ投票重ねちゃ駄目だ!」と諭されていた。
- ウォルター確黒説。
- 以降、“坊主戦法”は禁じ手に定められた。
書きながらほんとびっくりするぐらい覚えてないなともう一回びっくりしました。
今年はネット配信もなかったので、行けなかった方に少しでも伝われば……と思ったのですが申し訳ない……。
せめて雰囲気だけでも伝われば良いなぁと祈ります。
【The Room #01 体験会(1) 《2016年2月13日(土)16:30〜》】
当初は
「人狼したことないし、ってか到底出来る気しないし。
キャストの方々と一緒とか更に敷居高いし、体験会はいっかなー」
と思ってたのですが。
公演会まで2時間空くのも勿体無いし。
かといってうどん食べに行くには時間足りないし、
ええいもういいや、対面人狼するなんて最初で最後かもしれんしやってみよう!
と参加してみた体験会。
結果。
ほんっとうに参加して良かった!!!
何が良かったって、
まずはこの体験会自体がある意味で既に“公演ステージ”であったこと。
これに尽きます。
体験会参加者たちは入場の際に、7つの大罪の名を冠した7つのテーブルに振り分けられます。
テーブルには13枚のトランプと13脚の椅子が配置されており、各自好きな席を選んで座ります。
役職はGMによって配られる封筒に入っているカードによってランダムに決定され、
投票は自分の席に割り振られたトランプと同じスーツ、同じナンバーのトランプを渡すことで行います。
体験会ではその勝ち負けに関係なく、各テーブルから一定の基準でプレイヤーが選出され、選出されたプレイヤーは“特別ステージ”に進むことが出来ます。
以上が今回の公演、“The Room”のストーリーの一部です。
この日、2016年2月13日16時30分から行われた
『さぬき映画祭 人狼TLPT The Room #01 体験会』
は
『第75回人狼体験会 “The Room”』
とイコールという構造になっています。
つまり客席(会場)のそこここで、
既に“The Room”という公演が始まっているという訳なのです。
友人同士の参加者あり。カップル、ご夫婦あり。私のようにひとりの方もあり。
どんな感じになるんだろうなぁとテーブルで内心そわそわしながら待っていると、
タイミングも何もかもバラバラにTLPTキャストの方が登場。
各テーブルキャストはGM1名、プレイヤー1名の計2名。
《暴食》テーブル
GM:ウォルター、プレイヤー:ヘイゼル
《憤怒》テーブル
GM:エスター、プレイヤー:メイソン
《傲慢》テーブル
GM:バーバラ、プレイヤー:ルーサー
《色欲》テーブル
GM:スタッフ、プレイヤー:マドック
《強欲》テーブル
GM:ハイラム、プレイヤー:ノエル
《嫉妬》テーブル
GM:ナナ、プレイヤー:カチュア、パンジー
《怠惰》テーブル
GM:デイジー、プレイヤー:ドリス
だったと思います。
(2/13の体験会ではデヴィッドもプレイヤーとしてマドックと同じテーブルにいました)
※2016/2/16 8:50訂正 テーブル名間違ってました!申し訳有りません!
訂正致しました。教えて下さったHachi様、有り難うございます!!
GMも含め皆、それぞれが参加者という設定です。
ハイラムが比較的早くから会場に登場していたのですが、
「何でGMなんだよ」とか「もう5回目だけど特別戦に全然選ばれない」とかって
ずっとボヤいてくれてたので、何となく背景が解る感じ。
同じく早い段階で登場してた隣のテーブルのGMウォルターは逆に、
椅子に座って全然喋らず。服装はグレーのパーカーにデニム。
興味なさげな感じでどんな人かも解らない。
《憤怒》テーブルのエスターはパールのネックレスにシャネルジャケット、
黒のスカートというコーディネート。
私学の小学校の参観日に向かう、若くて綺麗なお母さん風(※イメージです)。
対応もめちゃくちゃ丁寧でした。
同テーブル内にご夫婦がいるという話になると、「私もここに元夫が参加してるんです」と発言。
全体通して見てもかなり遅めに登場のメイソンは、基本的に石井由多加さんのまんま。
「人狼が好きで好きでたまらないので、繰り返し体験会にも参加している」とのこと。
テーブル内メンバーそれぞれの出身地の話になって駒込という地名が出てきた際、
「うわ、僕駒込で番組やってます!」って言っちゃって、
エスターから「えぇ!?芸能人の方ですか!?すごーい!!」
ってめっちゃ食い付かれてました。
司会進行は池永英介さん扮するダンカン。
SPステージとは髪型も変わっていて、雰囲気がまるっきり違いました。
さすが役者さんだなぁという印象。
公演の一部、とはいえ基本的にゲームが始まってしまえば、各テーブル皆さん真剣に人狼をプレイ。
かくいう私も必死に頑張りました。
(以下の段落、『わたしのはじめてのじんろう』話なので読み飛ばしても差し支えありません)
人生通して初の人狼、心の底から人間を引きたいと切望していたのですが、カードを開いてみると一番引きたくないと思っていた『狂陣』の文字が。
もう絶望ですよね。ええ。
「『狂人』じゃなくて『狂陣』だったのか」とか冷静に考えようとしながらも、ずっとほっぺたの内側噛んでました。恐ろしすぎて。
「明日のお昼食べるならうどんとそば、どちらですか」というダンカンからのお題会話をしている最中も、必死に2日目からどうやって騙るかばっかり考える。
むしろもう殺してくれと真剣に願ったのですが、祈りも虚しく初夜トンも免れ。
ひとり予言者COがあった後、『この世で最も罪深いのは黙ってる狂人だ』と覚悟を決めて予言者騙ってみましたが、その後何ともうひとり予言者COが。
2日目に人狼が処刑され、真予言者が2日目夜に人狼を発見。
おまけに予言者のリアル彼女さんが霊媒師という何かもう雰囲気だけで強力なタッグ。
次々と畳み掛けられて全く反論も出来ませんでした。
いやー、理路整然と嘘つくのって難しい!でも楽しかった!
《憤怒》テーブルは蓋を開けてみれば予言者&霊媒師カップルと人狼夫婦なんて内訳でびっくり。
「全然うまく喋れなかった……」としょんぼりする初心者の女性に、
エスターが「私初めて人狼したとき一言もしゃべりませんでしたよ」とフォローしてる光景にものすごくほんわかしました。
ちなみに初日処刑の人と初夜トンの人には、記念の缶バッジがありました。
羨ましい……!
GMデイジーのテーブルは、何と最終日まで到達。
メイソンの「皆で見に行きましょうよ!」の声に憤怒村御一行で見学しに行くと、
ラスト3人の中にさっきSPステージ一緒に見た女性がいる奇跡……!!
うえぇぇぇ?!ってなった。ちょっと声出た。
確かに人狼してるって言ってはったけども。私すごい人と一緒に観てた。
彼女はラストウルフだったらしく、結果は人間勝利だったのですが、いやはや本当に手に汗握りました。
さて。
全てのゲームが終わったタイミングでダンカンのアナウンスが入ります。
「これから特別戦に出場していただくプレイヤーの、
プレイヤーネームをお呼びします」
ここから、公演に繋がる訳なのですね。
各テーブルを代表して呼ばれていくキャストたち。
これ、すごくにくい演出だなぁと思いました。
単純にキャストのファンとかそういうことをひとまず別のところに置いて、
一緒に体験会の時間を過ごした“仲間”みたいな意識がキャストに対して生まれるんですよね。
ハイラムとか特にそれが顕著で、体験会が始まる前から「特別戦に出たい出たい」って、テーブルのメンバーに対して繰り返し言ってるんですよ。
「でも今回GMだし絶対選ばれないだろうなぁ」って諦めていたのに、体験会の最後に名前が呼ばれる。
この時ハイラムのテーブルでは拍手喝采が起こりました。
当然、私たちはハイラムが18時半からの公演に出演することを知ってます。
でも、こうして前振りのストーリーを私たちと同じ目線で展開されると、
それが“キャラクター”に強烈な説得力を与えます。
そしてその説得力は“キャラクター”を際立たせ、深い感情移入と世界観への導入を果たすでしょう。
ある意味、これは“人狼TLPT”だからこそすごくハマる演出だと思いました。
それぞれの公演、それぞれの世界観、背景が変わってもキャストの名前は基本的に変わりません。
名前というものはキャラクターの性質の大部分を占めます。
“人狼TLPT”ではそれを持ったまま様々な世界を行き来しなければならないという、ある意味での枷を持っています。
そんな中で今回のように、まずは客席と同じ高さでキャラクターを演じるとどうなるのか。
一般の、初対面の人と同じ感覚で、キャラクターの情報を知ることが出来るんですよね。
舞台の上から知らされるのではない、公式から“設定”として知らされるのではない、“生の情報”。
“人狼”というゲームを一緒にプレイしながら、その流れの中で本人に質問し、答えてもらって知るという楽しさ。
だからこそ強烈に感情移入し、『特別戦』である公演にのめり込むことが出来る。
多分今回の演目“The Room”は“人狼TLPT”ファンである期間が長ければ長いほど、
ハマり方が深ければ深いほど、
とても刺激的な演目だったんじゃないかなぁと、新参者の私は思う訳です。
【The Room #01 公演会(1) 《2016年2月13日(土)18:30〜》】
そこに集まるのは容易くは叶うことのない願いを持つ者たち。
そこに集まるのはどうしても叶えたい願いを持つ者たち。
そこに集まるのはたったひとつの願いを持つ者たち。
条件はただひとつ。
ゲームに勝利すること。
代償はただひとつ。
己が命、ただそれだけ。
『第75回人狼体験会 “The Room” 《特別戦》』
雰囲気としては『ライアーゲーム』や『カイジ』のような、
権力者の余興として繰り広げられる非人道的なゲーム、という舞台設定。
キャラクターそれぞれが命を賭けた人狼ゲームのプレイヤーとして、舞台に登場します。
プレイヤーは先程まで開催されていた体験会で選抜された13名。
自己紹介くらいまでで感じた各キャラクターの印象は以下の通りです。
・誰に対しても敬語で丁寧に話す冷静な青年、マドック
・ロリータファッションに身を包み、芝居掛かった立ち居振る舞いの女性、ドリス
・大きな丸メガネにオーバーオール、常におどおどした女性、ヘイゼル
・「何か」が希薄そうな今時の青年、といった雰囲気の男性、ノエル
・常に険しい表情で無駄なことを喋らない本庁捜査一課女刑事、バーバラ
・寡黙で思いつめた表情の男性、ウォルター
・不安げな表情を隠せない、ナイーブそうな女性、デイジー
・特別戦に参加する、という願いが叶ってものすごく嬉しそうな男性、ハイラム
・誰に対しても物怖じせずあっけらかんとした女子高生、カチュア
・どっしりと落ち着いた雰囲気の理知的な男性、ルーサー
・斜に構えた雰囲気でミステリアスな女性、パンジー
・こういった場所に最も縁遠そうな上品な女性、エスター
・大喜びしている訳ではないがニコニコと嬉しそうな男性、メイソン
プレイログが公式サイトにて公開されてますので、此処ではSPステージ同様ざっくりとした流れと感想を。
- 自己紹介ではそれぞれ“叶えたい望み”なども口にしつつ探り合い。
この時点でルーサーがかなり強い口調で「エスターとは別陣営になりたい」と発言。
体験会でエスターが「元夫が参加している」と口にしていたことから、この2人が元夫婦で何かしらの因縁があるのだろうなと感じる。 - 初日。体験会での各テーブルの流れや雰囲気、議論の進め方などを参考にしつつの話し合い。ここで自分のいたテーブルの話が出るとすごく嬉しい。
パンジー、ノエル、ウォルターの順番で予言者CO。
マドック、パンジーが予言COしたタイミングが信じられないと即座に反論。 - 自分に票が集まりそうで焦るカチュアの様子からメイソンが「カチュア霊媒でしょ?」と軽く訊き、カチュアも軽く「そうなんだよねぇ……」みたいな感じで応える。
- 初日処刑が決定したノエル。
処刑者の発表時には趣味悪く能天気なファンファーレが響く。
ノエル、「1日目でこんなの、もう人間陣営に勝利は有り得ない」とガチ切れ。 - 実際にプレイヤーが舞台上で人狼をプレイしている、という舞台設定なので、幽霊タイムはそのまま『ゲーム進行の幕間』となり、『客席でゲームを観覧している人々や、画面の向こうで観ているVIPを楽しませる時間』として司会進行のダンカンに「何か面白いことをして皆さんを楽しませて下さい」と促される。
が、基本的に参加しているのは『負ける訳にいかない人々』なので、そんなこと簡単に出来るわけもなく、雰囲気は重苦しく最悪。渋々人狼ゲームのルール説明をさせられる。 - 2日目。初夜トンカチュア。
予言者の真贋がはっきりしないため、さくっと予言ローラーで2日目はウォルター処刑。2日目幽霊タイムはカチュアとウォルターで各陣営の勝利条件説明。 - 3日目。ルーサー襲撃で退場。
デイジーとヘイゼルが互いに疑い合い、かなり険悪。
初日ノエルに白出しされていたエスターはノエルを真として強く主張。
対してバーバラはパンジーを強く信じていると初日から連続して主張。
ハイラムはウォルターが本物でなければ、3番目のあのタイミングでCOするメリットがないと思うと発言。
そのハイラムの主張が不自然だとハイラムを人狼だと疑うメイソン。
メイソンをかなり疑っているマドック。ドリスはバーバラが怪しいと主張。
パンジー処刑。3日目幽霊タイムは解答用紙の回収。 - 4日目。エスター襲撃で退場。
マドック、エスターが襲撃されたことから、エスターの主張に強く同意していたメイソンへの疑いを和らげる。
ハイラムはヘイゼルを強く人間だと思うと主張。
デイジーとハイラムに疑惑が集まり始める。
メイソンは引き続きハイラムを強く疑うが、マドックがハイラムの推論を強く擁護。
議論が白熱する中、ドリスはぱたぱたしながら「ドリスはバーバラが怪しいと思うわよーぅ」と度々発言。
デイジーとハイラムで決選投票。ハイラム処刑。
幽霊タイムはエスターとハイラム。この日からすることがなくなるので、ダンカンからの「面白いことをしてください」という笑顔での振りがどんどん残酷になっていく。 - エスターの背景を朗らかな声で明かしていくダンカン。
ルーサーが元夫であること。そして2人の子供が病気であることも明かし、正体バラしのコールは「『エスターとルーサーは』『訳ありー』でお願いします」と笑顔で言い放つ。
ルーサーが「いい加減にしろ」とキレるも、「おやおや、画面の向こうにいるVIPの方々のご機嫌を損ねたら、たとえ勝っても願いは叶わないかもしれませんよ」と不気味な笑顔。 - 片やハイラムはつまらない日常に嫌気が差し、非日常を味わうために《特別戦》に参加したかった青年なので非常に軽い。
「どうせこれ全部演出なんでしょ?」感満載。逆にエスターやルーサーの雰囲気にちょっと引いてる。
ダンカンの「面白いことをして下さい」に対しても臆することなくそっこー踊り出し、エスターが慌ててそっぽを向く。 - 5日目。ヘイゼル襲撃で退場。
ドリスが必死に「ドリスはバーバラが怪しいわよぅって3日くらい前からずーっと言ってるのに、ドリスがそう言うと必ず誰かが話の矛先をころっと変えちゃうの。マドックかしら?」と言い出す。
メイソンはマドックが4日目あれだけ擁護していたハイラムに投票したのが全く理解できないとマドックを問い質す。 - おそらく1ステージ目のハイライト。マドックが1票投票された状態で、残り投票出来るのはマドックとメイソン。
すごく真面目に考えた後、「(俺は)デイジーに投票するから、お前が決めろ」って決定権をメイソンに託そうとした直後、
「いや、駄目だお前はそうなったら絶対に俺に入れる!!何か解んないけどそんな気がする!!こいつはそういう奴だ!!したことないけど今まで何回もそんなことされた気がする!!」と超ハイテンションになって掌を返し、キャラ崩壊。
すんごい面白そうに笑いながら「うん」と頷くメイソンに客席爆笑。バーバラ処刑。 - 6日目。ドリス襲撃で退場。舞台上にはマドック、デイジー、メイソンの3人。
「昨日死ななかったことが今回最大のGJだ!」と勝ち誇るマドック。
「馬鹿かお前は!あんなことされて信用されると思ってんのかばーか!!」とマドックに絶好調で罵倒し尽くされ、呆気にとられながらもめちゃくちゃ楽しそうな石井プロ。ただただ困惑するデイジー。
メイソン「(ダンカンに)後何分あるんですか!?」
ダンカン「議論時間残り3分です」
メイソン・マドック「結構ある……!(めっちゃ嬉しそう)」
ギリギリまでこのマドックVSメイソンを堪能し、デイジーの苦悩の末の票によりメイソン処刑。 - 最後の幽霊タイムはドリスとメイソン。ダンカンの振りに躊躇わず踊るメイソン。ドリスの正体カードを見て普通に声に出してリアクションするメイソン。
- 【結果】
ダンカンの「人狼の勝利です」の言葉に崩れ落ちるデイジー。
呼び込まれる人狼陣営のバーバラ、ウォルター、パンジー。
舞台の端で涙するデイジーに「すみません。僕の正体は結婚詐欺師。女性を泣かせるのが仕事なんです」と告げるマドック。
人狼陣営の4人はドライな雰囲気で互いを労い合う。
バーバラの願いは過去に見逃してしまった上司の汚職を明るみに出すこと。
マドックの願いは過去を手に入れること(「未来は自分の手で作ることができるが、過去は作れない」)。
ウォルターとパンジーは不明。 - 人狼陣営の4人が舞台の上にいる間、会場の隅で泣きながらメイソンに謝っている風のデイジー。困ったように笑ってるメイソン。
- 勝者の4人が去った後、続いて敗者の人間陣営が舞台に上がる。
号泣しながら謝っているデイジー。ガチ切れのカチュア。
敗者は毒である錠剤を飲まなければならないというダンカン。
「それ私だけじゃ駄目なんですか!?」と食い下がるデイジーに、「そうして下さい」と言い放つエスター。勿論、ダンカンの答えは笑顔で否。「どうせドッキリ的なあれなんでしょー?」というハイラムの言葉が一番寒々しく響いた。白い錠剤を嚥下し、次々と倒れる敗者9人。
静まり返った会場内に程なくして、ダンカンの「……そろそろ、かな?」という声が響く。
すると言葉通り、ゆっくりと起き上がるエスター。
「おめでとう、敗者復活ロシアンルーレットの勝者は君だ、エスター」
状況が飲み込めておらず、恐る恐る周囲の様子を確認するエスターに、
ダンカンが封筒と錠剤を差し出す。
曰く、敗者復活のチャンスをあげよう、というもの。
受けて立つのならば封筒を。
その中には次回、第76回人狼体験会 The Room《特別戦》の狂人のカードが入っている。
拒むのであればもう一度、錠剤を。今度は本物の毒薬だ。
戸惑うエスター。
隣で倒れているルーサーの背中にそっと手を伸ばして触れる。
それは生死を確かめるためか。
あるいは決意を伝えるためか。
立ち上がったエスターがダンカンへと距離を詰める。
逡巡ののち、無言のまま細い指が選んだのは、
白い封筒。
「いい子だ」
思い通りの選択に、静かに笑みが深められた。
【諸々総括】
ざっくりと言いつつ結局この長さなのはもう仕様がないので諦めるとして。
いや、もう本当にあっという間の公演会でした。
必死にメモを取りつつ、推理しながら見ていたのですがまさかラストウルフマドックなんて思いもよりませんでした……。まじでメイソンだと思ってた。
体験会で一緒だったこともありメイソンを人間と信じていたのだけど、最終日の顔触れ見たら宗旨替えせざるを得なかった。
だって初日からパンジー疑ってたマドックが人狼とか……!
でもちゃんと正解しておられる方が3名もいらっしゃって驚き。
そして初日で予言霊媒失いつつも最終日まで持ち込んだ人間の強さに脱帽。
すごいなぁすごいなぁと思ってはいたけれど、この度自分で人狼プレイしてみて、
キャストの方々がどれだけすごいかを改めて思い知りました。
舞台設定としては凄く閉塞感のある重苦しいものだったんですが、
私はかなり好きです。こういうの。
見世物小屋的な、残酷な楽しみっていう雰囲気。
また、単純に“善悪”や、“食うか食われるか”な二元論的な話ではなく、
心底切羽詰まった人や志のために命を賭すことも辞さない立ち位置の人から、
物見遊山や暇潰し、現実逃避など容易には理解し難い願いを持った人まで、
物語の幅が広く懐も深く。
実に色とりどりなところも魅力だなぁと思います。
“The Room”という演目は体験会からの一体感も含めてとにかくリアル。
あの舞台に上がるのは、決して特別な人だけじゃなくって。
何かの拍子に振り向いたら、足元にぽっかりと穴が開いていて。
そこからするりと滑り落ちてしまった、というような。
最後のダンカンの言葉じゃなけれど、もしかしたら本当に次は——なんて、
そんな仮初めの未来が容易く描けてしまいそうな。
初めて体験した人狼TLPTの世界がこの“The Room”という世界だったことは、
とても贅沢なことだったなぁと思います。
本当にすごくすごく、楽しかったです。それしか言葉がないくらい。
本当にありがとうございました。
また、体験会でご一緒させて頂いた方々も、本当にありがとうございました。
人狼陣営の方々。へなちょこ狂人でごめんなさい。
ビビり倒して早く死にたいと思ってましたが、
未だに「あの時どうすれば良かったんだろう」と真剣に考えてしまうぐらい、
また人狼やりたいです。
神戸まで日帰りだったので終電ギリギリで走りましたが、
無事に帰ることが出来ました。
いつかまたこの“部屋”で繰り返される、
たった一度の物語に出会うことが叶いますように。